釈尊が子を亡くした母親に出会ったとき
2400-2500年前のインドの舎衛国
あるとき、幼い男の子を亡くしたばかりのキサー・ゴータミーという名の女性が、遺体を抱えたまま、「子供に薬を下さい、薬を下さい」 と、狂乱したように町中を歩き回っておりました。ゴータミーは、たまたま舎衛国に来ておられた尊者の噂を聞きつけたのでしょうか、釈尊のもとに行き、同じように薬を求めました。
釈尊はこんな風に答えられたといいます。
「よろしい、いまだかつて死人を出したことのない家から、ケシの粒を持ってきなさい。」
ゴータミーにとってケシ粒さがしは、自分探しでもあったはずです。子供の死はもうとりかえしのつかないこと。しかし子を亡くしてもなお生きている私はここにいる、と。こうして釈尊のことばの本意を知ったゴータミーはあらためて釈尊のもとに行き、そこで釈尊は初めて法を説かれたのでしょう。ゴータミーは最愛の子供を亡くしたことを縁に、仏法に出会い、よろこびを持って自分の人生を生き直すことができたのです。
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