第二帖 第6通 掟の御文
そもそも、当流の他力信心のおもむきをよく聴聞して、決定せしむるひとこれあらば、その信心のとおりをもって心底におさめおきて、他宗他人に対して沙汰すべからず。また、路次大道、われわれの在所なんどにても、あらわにひとをもはばからず、これを讃嘆すべからず。つぎには、守護地頭方にむきても、われは信心をえたりといいて疎略の義なく、いよいよ公事をまったくすべし。また諸神・諸仏・菩薩をもおろそかにすべからず。これみな南無阿弥陀仏の六字のうちにこもれるがゆえなり。ことにほかには王法をもっておもてとし、内心には他力の信心をふかくたくわえて、世間の仁義をもって本とすべし。これすなわち当流にさだむるところのおきてのおもむきなりとこころうべきものなり。あなかしこ、あなかしこ。
文明六年二月十七日書之
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